ChatGPTやGeminiに「自社に合うサービスを教えて」と聞くと、AIは複数の企業を比べ、特徴を整理し、候補を挙げてくれます。日本のBtoB購買でも、生成AIの利用者の半数が候補の洗い出しにAIを使っています。このとき企業が競っているのは検索順位ではなく、「どんな会社として説明されるか」「比較の候補に入るか」「なぜ選ぶべきかが伝わるか」です。
AIはその説明を、自社サイトだけでなく、メディアの記事や比較サイトといった第三者の発信や、プレスリリースのように自社サイトの外で出した情報も材料にして組み立てます。そのため、AIO(AI検索への最適化)で打つべき施策は、SEOの担当範囲を越えて、広報・PR、営業、サポート、商品にまで広がります。AIOはSEOの延長ではなく、マーケティングそのものとして取り組む必要があります。
| SEO | AIO | |
|---|---|---|
| 主な評価の場 | 検索結果の順位 | AIの回答の中での説明 |
| 主な材料 | 自社サイトのページ | 自社サイト+第三者の発信(メディアの記事・比較サイトなど)+自社サイトの外で出した情報(プレスリリースなど) |
| PRの役割 | 被リンクを得る手段 | 回答の材料 |
| 主な担当 | Web・SEO担当 | 広報・営業・サポート・商品を含む部署横断 |
本記事では、海外の論考と国内外の調査をもとに、AIOがマーケティングそのものになる理由を整理し、企業が何から始めればよいか、Dr.AISEOで何を確かめられるかを紹介します。
まずは無料でAISEOスコアを確認する →AI時代の対策を「SEO」と呼ぶか「GEO(生成AI向けの最適化)」と呼ぶかは、本質的な問いではありません。問うべきは、市場が自社をどう見つけ、どう理解し、何を信じるかを、どう形づくるかです。
テクニカルSEOのコンサルタントのJono Aldersonは、SEOとGEOのどちらが正しいかという議論を「間違った問い」と呼びました(Jono Alderson、2026年7月)。同氏はマーケティングの目的を「市場が何を発見し、理解し、信じるかを形づくること」と定義し、SEOもGEOも広告も、その目的のための手段にすぎないと述べています。
この見方に立つと、AIOを「AIに引用されるための技術」とだけ捉えるのは狭すぎます。AIの回答に自社の名前が出ても、強みが正しく伝わらなければ比較の中で選ばれません。引用されることはゴールではなく、顧客に選ばれるための入り口です。
ただし、SEOが不要になるわけではありません。AIは検索エンジンの索引を使って情報を集めることが多いため、検索エンジンが読めないページはAIの材料にも入りにくくなります。SEOは引き続き土台であり、AIOはその上に積み上がるものです。
AIは、検索の入り口だけでなく、候補の洗い出しから比較、社内での説明までの購買検討の途中に入り込んでいます。企業にとっては、サイトに来てもらう前の段階で、比較の候補に入れるかどうかが決まりつつあります。
HubSpot Japanが2026年6月に行った調査では、直近12か月にBtoB商材の比較・選定・稟議などに関わった1,573人のうち、購買時の情報収集で増えたと感じるものの1位が「生成AIサービスやAI検索が購買判断に与える影響」(41.6%)でした(HubSpot Japan)。従業員50名以上の企業に勤める人が対象です。
同じ調査で、生成AIやAI検索の利用者が購買で行っていることは、「候補の洗い出し」が50.3%、「特徴・違いの整理」が47.1%、「課題の整理」が41.5%でした。割合はいずれも、生成AIやAI検索の利用者に占める割合です。上の図は、これらの項目を購買検討の流れに沿って並べたものです。AIは、情報を探す道具というより、候補を並べて違いを整理する道具として使われています。
AIの情報を社内説明や稟議に使うときは、48.3%が自分で事実を確かめて手を加えていました。一方で24.9%は、AIの情報を「そのまま・ほぼそのまま」使っています。AIの説明が、そのまま社内の比較資料になる場面も珍しくありません。
同じ調査で、購買検討で触れる情報を「信頼できる」と答えた割合は、「生成AI・AI検索のまとめ」が37.8%で、10項目の中で最も低くなりました。最も高かったのは「価格・契約条件が明瞭な情報」(60.6%)で、「担当者の個別説明」(59.8%)、「導入事例」(57.0%)が続きます。
この結果は、AIが最終判断を決めているわけではないことを示しています。ただし、AIが候補を洗い出す段階で名前が挙がらなければ、企業は導入事例や担当者の説明を届ける機会そのものを失います。比較の土俵に上がれるかどうかは、信頼度の低いAIの段階で決まりつつあります。
SEOでは、評価を受けるのは最後は自社サイトのページでした。AIOでは、自社サイトに加えて、メディアの記事や比較サイトといった第三者の発信も、AIの回答の材料になります。プレスリリースのように、自社サイトの外で出した自社の情報も同じです。どの情報源がどれだけ使われるかはAI・業界・質問によって大きく変わりますが、施策の範囲が自社サイトの外まで広がる点は、SEOとの大きな違いです。
SEOにもデジタルPRはありましたが、その主な目的は、メディアに取り上げてもらい、自社サイトへの被リンクを得ることでした。評価されるのは、リンクを受けた自社サイトのページです。
AIOでは、メディアに載った記事や、自社が出したプレスリリースそのものが、AIの回答の材料になりえます。Ahrefsの2026年9月版のランキングでは、日本のChatGPTが引用したドメインの2位がPR TIMESで、Geminiでも4位、AI Overviews(AIによる概要)でも9位でした(Ahrefs)。米国の3つのAIの上位20には、プレスリリース配信サイトは入っていません。日米の違いは「AIが引用するドメインは日本と米国でこう違う。ChatGPT・Gemini・AI Overviews別に解説」で詳しく解説しています。
どの媒体が読まれるかは、質問によっても変わります。Dr.AISEOとバクリ株式会社が2026年10月に行った共同調査では、銀行の口座・預金に関する485問をChatGPTとGeminiに2回ずつ質問しました(Dr.AISEO)。Geminiが金融機関以外で読むメディアのうち、定期預金の質問ではマネーメディアが73%、相続手続きの質問では相続を扱う事務所や専門サイトが87%を占めました。どんな質問で自社が語られたいかによって、PRで働きかける媒体や発信する内容も変わります。
AIが第三者の情報も読むと、企業の主張は第三者の情報と照らし合わせられることになります。Jono Aldersonは、AIによって比較や検証の手間が下がり、企業が何を言うかより、顧客や第三者が何を報告しているかが推薦を左右するようになったと指摘しています(Jono Alderson)。
たとえば、自社サイトで「サポートが手厚い」と書いていても、レビューに「問い合わせへの返信が遅い」と繰り返し書かれていれば、AIはその食い違いも読み取ります。AIOで問われるのは、自社が何を語っているかだけでなく、市場から自社がどう語られているかです。
お問い合わせはこちら →AIの回答の材料が自社サイトの外に広がると、AIOの施策もWeb担当の手を離れ、広報・PR、営業、サポート、商品の担当にまで広がります。複数の部署の施策を、同じ方向にそろえて設計する仕事は、マーケティングそのものです。
AIの回答に影響する施策を担当ごとに分けると、次のようになります。
このうちSEO担当が直接動かせるのは、多くの場合Web・SEOの範囲だけです。たとえばレビューに書かれた「返信が遅い」という評価は、記事を何本書いても直りません。サポートの体制を変え、そのうえで自社の説明を更新する必要があります。
部署をまたいで施策を進めるときは、先に「誰に、何を、なぜ自社が、なぜ信頼できるか」という4つの問いの答えを決めておきます。部署ごとにばらばらに発信すると、外での語られ方も食い違い、AIの説明もぼやけるからです。4つの問いは、マーケティングが昔から向き合ってきた問いと同じです。
| マーケティングの問い | AIOで考えること |
|---|---|
| 誰に届けるのか | どんな顧客が、どんな状況でAIに相談するのか |
| 何を提供するのか | どの課題を、どのように解決できるのか |
| なぜ自社なのか | 競合との違い、得意な領域、選ばれる理由は何か |
| なぜ信頼できるのか | 実績、事例、レビュー、専門性を示せているか |
この4つが曖昧なまま記事を増やしても、AIには「何でもできる会社」というぼんやりした像しか残りません。AIに伝わるブランドをつくる前に、まず人に伝わるブランドをつくる必要があります。
AIの回答の中で比較が進むなら、サイトへの流入だけを見ていると、顧客との接点の一部しか見えません。一方で、AIに名前が出た回数が増えても、それだけで売上への貢献が証明されたことにはなりません。
米HubSpotのブログは、検索からの訪問が月2,000万回を超えていた時期から、AIの回答が広がるにつれて約8割を失いました(Search Engine Journal、2026年10月)。それでも同社の2025年の売上は約20%伸びた、と最高マーケティング責任者のKipp Bodnarは述べています。同社は、ニュースレター、動画、ポッドキャストなど、検索以外の顧客との接点を何年もかけて育てていました。
ただし、Bodnar自身も、AIでの露出と事業の成果の関係は相関であり、因果は確かめられていないと認めています。この例が示すのは、「流入が減った=負けた」とは限らないということで、「AIで露出すれば売上が上がる」ということではありません。
SEOコンサルタントのGianluca Fiorelliは、AI検索の価値を流入や直接のコンバージョンだけで判断すると、購入の前に積み上がるブランドづくりの効果を見落とすと指摘しています(iloveseo.net、2026年10月)。そのうえで、AI上での露出が商業的な価値を持つことは、露出だけでは証明できないとも述べています。
そこで成果は、AI上での露出、伝わり方、事業への影響の3つの層に分けて見ます。
| 層 | 見るもの | 確かめること |
|---|---|---|
| AI上での露出 | ブランドの言及、引用、競合との比較 | 重要な質問に対して名前が出ているか |
| 伝わり方 | 強みの説明、比較での評価、誤った情報 | 伝えたい価値が正しく表現されているか |
| 事業への影響 | 指名検索、問い合わせ、顧客への聞き取り、商談 | 認知や事業の成果に変化があるか |
大切なのは、複数の指標と顧客の声を組み合わせ、仮説として確かめ続けることです。
AIOは、顧客がAIにしそうな相談を洗い出し、AIが自社をどう説明しているかを確かめるところから始めます。そのうえで、伝えたい価値とのずれの原因を分け、担当する部署を決めて直していきます。
3つめの切り分けが、AIOを部署横断の取り組みにする分かれ目です。原因が「体験の課題」なのに記事を増やしても、AIの説明は変わりません。
Dr.AISEOは、AIが自社と競合をどう説明しているかを、回答の本文と出典までさかのぼって確かめ、そこから部署をまたいだ施策につなげるためのツールです。
Dr.AISEOでは、登録したプロンプト(AIへの質問文)ごとに、ChatGPT・Gemini・AI Overviewsの回答の本文と、参照したURL、引用したURLを確認できます。自社が登場したかどうかはAIが文脈から判定するため、同じ表記の一般名詞や同名の別企業は数えません。競合と並べて、どの質問で、どう説明されているかを比べられます。
参照・引用されたURLを見ると、AIの説明がどの情報源から組み立てられているかが分かります。自社が把握していなかったメディアの記事やレビューが拾われていることや、誤った説明の出どころを特定できれば、そのページの情報を直す、広報から正しい情報を出し直すといった手を打てます。
Dr.AISEOは、分析の結果をもとに、施策のToDoを週に1回自動で作ります。施策ごとに、なぜ必要かを根拠とあわせて示し、担当者を割り当てて進み具合を管理できます。ToDoには、コンテンツの作成に加え、技術面の対策や外部での対策も含まれます。
計測は週2回(日曜・木曜)自動で行われ、回答の履歴が積み上がります(2026年10月時点。無料プランは週1回)。施策の前後で、AIの説明がどう変わったかを時系列で確かめられます。
AIOとは、AIに引用されるための技術ではありません。顧客がAIを通じて情報を集め、比べ、選ぶようになった中で、自社の価値を正しく伝え、選ばれる理由をつくる取り組みです。
SEOとの最も大きな違いは、施策の範囲です。AIは自社サイトだけでなく、メディアの記事や比較サイトといった第三者の発信や、プレスリリースのように自社サイトの外で出した情報も材料にして答えを組み立てます。そのためPRは「被リンクを得る手段」から「回答の材料」へ役割を変え、営業・サポート・商品の担当まで、AIOの当事者になります。
SEOを捨てるのではありません。SEOを土台に、PR、顧客体験、商品までを含むマーケティング全体を、AIが入り込んだ購買行動に合わせて捉え直す。それがAIOです。
自社がいまAIにどう説明されているかは、Dr.AISEOの無料プランで確かめられます。